合格すれすれライン

私の考える合格すれすれライン
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 受験者集団の質というものがあるので、「どこまでできていれば合格だ」というような基準を簡単には言うことができないかもしれません。
 しかし私は、どのような場合でも、「その文章を通して言いたいこと(主張)があり、文章を構成する要素が、その主張を読者に納得させるために、適切な順番で並べられていること」https://www.syouron.com/nekoron/2007/02/post_22.php)が、合格の最低ラインだと思っています。
 前回の記事で、
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減点要素の全くない、内容はそれほどとるところはないが、一応そつなくまとめているあたりが合格ラインすれすれでかろうじて合格に引っかかるかどうかということになる
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と書いた、「一応そつなくまとめている」というのが、ここで私の言う「「その文章を通して言いたいこと(主張)があり、文章を構成する要素が、その主張を読者に納得させるために、適切な順番で並べられていること」(https://www.syouron.com/nekoron/2007/02/post_22.php)」ということです。

作文・小論文のレベル
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 私が「作文・小論文」を見るときには、下のような基準で指導をします。合格ぎりぎりラインが70点です。
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1・文章を思いつくままに書き流し、書いた記事の連想から、次々に話が成り行きに任せて展開される。(60点以下→問題外)
2・一応言いたいことはあるが、それを読者に納得させるだけの根拠を筆者自身が把握しておらず、その結果、読者にも説明できない。(65点以下→不合格)
3.主張に向かって、文章を構成する要素が一応適切に配置されている。
  その文章に言いたいことがあり、その理由が納得できるように一応説明できている。(70点→合格すれすれライン)
4.世間一般に普通に言われている常識レベルの思考から、一歩踏み出した考えを示しており、読者にその根拠を納得させる。(75点以上→高得点)
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 この基準点から、前項(https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1008286956&owner_id=14874745&org_id=1008297189)で挙げた減点項目の点を、2点ずつ引いていけば、私の採点は完了です。
 ですから、3の合格ぎりぎりラインの場合に、誤字が1つあると即不合格になりますね。

 以上の基準は、あくまで私が自分で勝手に採用しているものであって、大学の採点基準などを聞いて、それを参考にしているわけではありません。
 しかし、文章の完成レベルというのは、上の1から4の段階に進むにつれて高くなっていき、3の一応のレベルに到達するだけでも、かなり上位の集団に入るはずです。ですから、誰がどのような読み方をしても、この採点基準から、大幅にずれた採点がなされるということは、考えにくいと思います。
 前項(https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1008286956&owner_id=14874745&org_id=1008297189)でも説明したとおり、3のレベルというのは、本来なら、「こんなので大学には入れたくない」と大学の先生は考えているはずです。
 しかし、現実には、それ以下の生徒が多すぎて、このレベルを入学させないと学校経営が成り立ちませんから、やむを得ず入学を認めることになります。
 後は学校の方針によって、少々論理的に破綻していてもユニークな学生を取ろうとするようなところもあるでしょう。しかしこれも程度の問題で、3のレベルにも達していないような生徒の中からユニークな学生を捜すことには無理があります。
 つまり、常識的な範囲ですらきちんと自分の考えを整理できないわけですから、その「ユニークな発想」とやらをその生徒がどれだけ自分のものとして発展させていけるかということを考えると、かなり難しいことが分かるはずです。

論理的な破綻があるからといって、常識レベルに引き戻さない
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 ただし、上で挙げたのはあくまでも採点をするための基準です。もし、「平凡な発想でも、論理的に破綻していない文章の方がよい」と考えて、「ユニークな発想ながら、論理的に破綻している文章」を指導する時に、論理的な破綻をいちいち指摘していって、そんなのはおかしいからといって、常識的な思考の、論理的に破綻のない文章を書かせるような指導をしたとしたら、本末転倒です。
 指導の段階では、生徒の破天荒な考えに着目し、それに基づいて、さらにこれを発展させればどのような結論になるのか、というように、生徒の思考を尊重しながら、これを論理的に破綻のない文章に導いていこうとする姿勢が大切です。
 往々にして、先生は、論理的に破綻のある文章や、思考の足りない文章に対して、自分の知識を押しつけたがる傾向にあります。それをしないで、できるだけ生徒の思考を大切にしながら、それを発展させるためにはどう考えていけばよいかというような導き方をしたいものです。

ぎりぎりをねらっていては、合格しない、成長しない
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 添削指導をするとき、3のレベルなら合格するからといって、この3のレベルをねらって練習していては、絶対に合格することはできません。
 3のレベルというのは、思考の深まりがそれほどないレベルですから、はじめからそれをねらっていたのでは、実際にはそこまでのレベルにすら到達できるはずもなく、その結果、全体のレベルはそれなりで、その他細かいところで、破綻、思考の足りない部分が出てきます。それが一つでもあると、減点されて3のレベルにすら届かなくなります。
 ですから、添削指導の段階では、生徒が最初書いてきたものを元にして、生徒の発想を生かしながら、どれだけその発想を深め、それを論理的に破綻のない文章に仕上げさせていけるのかということを目指していかなければなりません。
 そして、その結果として、実際のテストで書くのがやっと3のレベルの文章になるから、首の皮一枚のところで合格して、「やれやれ、よかった」ということになるのです。

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